カリグラフィー用のペンを準備したら、次は練習するための用紙が必要ですね。
ただ、いきなり真っ白の用紙でカリグラフィーを書き始めるのはちょっと無謀です。
例えば、習字や書道を習い始めたばかりの頃を思い出してみてください。
練習用の紙や半紙には、文字を書くために線やマスが入っているものを使いませんでしたか?
日本語の習字や書道と同様、カリグラフィーにも練習用の紙があります。
その紙のことを「ガイドシート」と呼びます。
ほとんどの初心者向けのカリグラフィー解説書には、お手本と一緒に文字の書かれていないガイドシートのページがあります。
また、オンラインで「カリグラフィー ガイドシート」と検索するとPDFや画像ファイルをダウンロードすることもできますよね。
ガイドシートを販売している人もたくさんいます。
初心者としては、数多くの練習をこなしていくことが重要ですから、これらを使って、すぐにでも練習を始めればいいのですが・・・
私は、こういった既成のガイドシートを活用するよりも、自作のガイドシートを使うことをおすすめします。
「え?なんで?」
ここでは、
- なぜ私が既成ではなく自作のガイドシートをおすすめするのか?
- どのようにしてガイドシートを作ればよいのか?
お伝えしていきますね。
もくじ
ガイドシートを自分で作ることをおすすめする理由
既成のガイドシートには以下の3つの欠点があります。
- 自分が使うペンのペン幅とガイドシートがピッタリとマッチしないことがある
- 解説本のガイドシートをコピーすると、紙質の低いコピー用紙を使わざるを得ない
- 自分の好きな字体にぴったりのガイドシートを探すのに苦労する
少し補足すると:
1.ペン幅とガイドシートがピッタリとマッチしない?
既成のガイドシートで設定されているペン幅のものを使えば良いですが、ぴったりのペンがみつからないことがあります。
逆の発想をすると、ガイドシートにマッチするペンを用意すれば良いってことですね。
ただ、書籍用に印刷されたものって、微妙に幅や高さが違っていることがあるので要注意です。
2.紙質の低いコピー用紙になる?
お家にコピー機やスキャナーがある人は、問題ないです。
が、私のように「コピーといえば、コンビニ!」という場合。
コピー機にセットされたコピー用紙を使うしかありません。
「ペンと相性のいい紙に書きたい!」というときに困りますね。
3.好きな字体にぴったりのガイドシートがない!?
字体によって推奨される文字の高さや傾斜角度が異なるので、ガイドシートも字体によって変わります。
すると、解説本に紹介されている字体を練習する場合は良いですが、それ以外のものにトライしてみたいとき、なかなかピッタリのものが見つからなくて苦労します。
私は、小学校のころにレタリングクラブに所属していたので、いろんなフォントにチャレンジしたい派なんですよね。
いまはイタリック体に集中していますが、上達するにつれて字体のバリエーションを増やしていく予定です。
だからって、ガイドシート探しに時間をかけたくないんですよね。
そこは、サクサクっと終わらせて、練習に没頭したいです。
自作ガイドシートのメリット
ガイドシートを自分で作ることができれば、こういった問題は解決されます。
さらに、他のメリットとして:
- 好きな用紙を自由自在に使うことができる
- 脱素人=プロ感が味わえる
- ガイドシートを自作している間に、気持ちを整えられる
こういったことが挙げられます。
「ガイドシートを自作するなんて面倒だ!」
と思う方は、既成のガイドシートを使ってもらってかまいません。
ここでお伝えしているのは、あくまでも私の経験談・個人的見解です。
初心者のときに最も重要なのは、練習量ですからね。
ガイドシートを自作する理由を理解してもらったところで、実際にガイドシートをどのように作ればよいかを説明しますね。
自作ガイドシートの作り方
おおまかな作成方法は以下の5ステップです。
- 好きな用紙を準備します
- 紙の上・左右に余白部分を残して線を引きます
- ペン幅に合わせた「ものさし」を作ります
- 練習用の行を追加します
- ペン先の角度・文字の傾斜の目安線を追加します
これで、自作ガイドシートの出来上がり!
では、1つ1つのステップを詳しく説明しますね。
好きな用紙を準備する
カリグラフィーを書いてみたいペンを選んだら、そのペンと相性の良い紙を使いたいですよね。
どんな紙でも良いので、準備してください。
私は節約したいので、練習用と割り切って安価なA4のコピー用紙を使っています
カリグラフィー初心者に呉竹のZIGカリグラフィーペンを私がおすすめしている理由は紙のコストを下げることにもあります。
呉竹のZIGのようなペンではなく、パイロットのパラレルペンや本格的なカリグラフィーペンでインクを使用するものだと、高品質な表面の滑りが良い紙に限定されてしまいますよね。
初心者のうちはたくさん練習することがとても重要ですから、「紙がもったいない」と思っていると失敗を恐れてしまいます。
すると練習が本番のようになって、ジャンジャン練習できなくなります。
練習量が足りないと上達が遅くなって、やる気がなくなっていく。
結局、カリグラフィーをやめてしまう。。。
なんて悪循環になりかねないので、シンプルにZIGとコピー用紙ではじめたらいいんじゃないかと思います。
上手になってくると本格的なものに自然とチャレンジしたくなるでしょうけどね。
紙の上・左右に余白部分を残して線を引く
ここではA4のコピー用紙を前提として説明しますね。
A4の紙を横向きに机の上に置いて、上から2~3cm程度を測って、2か所に点を打って目印をつけます。左右も同様にしてください。
上、左、右、それぞれにつけた目印(2つの点)を線で結びます。
これで外枠、つまり余白部分ができました。
なぜ余白部分を作るかというと、本格的にカリグラフィーを実践するときに紙に触れてよい部分は、この余白のみだからです。
カリグラフィーを書く部分に、人間の手に含まれる油が付着すると水性のインクをはじいてしまって上手く書けないときがあるんですよね。
プロの人たちの動画を見てもらったらわかりますが、彼らは紙の端っこをつまむように持ったリ、中央部分を触らないように別の紙を置いていたりします。
ペン幅に合わせた「ものさし」を作る
余白部分ができたら、実際にカリグラフィーを書く部分にガイドラインとなる横線を入れます。
が、その前に書く字体に合った行の高さを準備する必要があります。
ここではイタリック体で話を進めますね。
トラディショナル・カリグラフィーでは、イタリック体はペン幅の高さ5つ分を1行として線を引きます。
ペン幅5つ分を3行つらね、真ん中に本体部分、上にアセンダー部分、下にディセンダ―部分を用意します。
ペン幅5つの高さを何度も測るのは面倒なので、自分の持っているペンに合わせて「ものさし」を作っておきます。
こうしておけば、今回だけじゃなくってガイドシートを作るときにはいつでも活用できますね。
練習用の行を追加する
ペン幅を元にして作成した「ものさし」で、練習用の行をジャンジャン追加してください。
「ものさし」で目安の点を2か所書いて、長い定規で2点を結べばOKですよね。
そういえば、自作ガイドシートの別の利点がありました。。。
いま追加してもらっている練習用の行。
この線の太さや濃さを自由に描けるってことも重要なんです。
解説本のコピーやダウンロードして印刷したものだと、どうしても太かったり、濃かったりします。
あくまでもガイド(目印)となるものなので、細く・薄い線の方がいいんですよねー。
ペン先の角度・文字の傾斜の目安線を追加する
最後にペン先の角度と文字の傾斜のガイドとなる補助線を引いておきます。
ベテランになるとこれらの補助線なしで美しい文字を連ねることができるようになりますが、いまは我慢!
補助線を頼りにして、訓練することが上達の近道です!
イタリック体では、ペン先の角度は45度で、文字の傾斜は5度です。
ガイドとなる補助線を追加したら、これでガイドシートは完成!
あらかじめ3~5枚程度つくっておくと便利です。
この作業をスピードアップするために、A4の紙そのものを使ってテンプレートを作り、「ものさし」状態にするとさらに効果的ですね!
まとめ
既成のガイドシートに頼らず、自分で作れるようになっておくだけで、どんな字体でも、どんなペン幅でも、どんな紙でもガイドシートを作ってジャンジャン練習することができます。
最初はすこし面倒に思うかもしれないですが、こういった基礎的なことを知り、実践していると、文字の美しさを構成する要素を理解する手がかりとなるかもしれませんね。
ぜひチャレンジしてみてください!